地域連携薬局と専門医療機関連携薬局

地域連携薬局と専門医療機関連携薬局

特定の機能を有する薬局を認定する制度で
2021年8月に施行

認定薬局制度の概要

認定制度
特定の機能を有する薬局について、都道府県知事の認定により名称を表示できる制度。
これにより、患者が自分に適した薬局を選べるようになります。

今回、名称表示が認められた薬局は「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」です。

  • 認定薬局は、「地域連携薬局」もしくは「専門医療機関連携薬局」である旨を薬局の内外に表示義務。
  • 「薬局機能情報制度」によって、都道府県のWebサイトに認定薬局である旨を表示。
  • 認定期間は1年(1年毎に更新が必要)

認定される為には、薬局機能ごとに定められた「構造要件」、「体制要件」、「人的要件」を満たす必要があります。

構造要件 体制要件 人的要件
  • 座って指導が受けられる構造か?
  • 車いすでも来局できる構造か?

など

  • 他の医療機関との連携体制はあるか?
  • 連携の実績はあるか?

など

  • 研修を毎年受講しているか?
  • 要件を満たす常勤薬剤師はいるか?

など

地域連携薬局の概要

①地域連携薬局とは

入退院時の医療機関等との情報連携や在宅医療等に、地域の医療提供施設と連携しながら、一元的・継続的に対応できる薬局。

※患者の状況に合わせて各施設と連携し、切れ目のない薬物治療を提供することが期待されています。

②期待される役割
  • 情報連携
  • 在宅医療や入退院時を含め、他施設と継続的に情報連携する

  • 連携体制の構築
  • 他施設の医療従事者との連携体制を構築する

  • 他薬局の業務を支える取組
  • 医薬品の提供や情報発信等を通じて、他薬局の業務を支える

③求められる体制
  • 利用者が安心して相談しやすい体制
  • 他施設との顔の見える関係づくり
  • 地域でいつでも調剤できる体制への参加
  • 一定の資質を持つ薬剤師の体制
  • 在宅医療に対応する体制

地域連携薬局の要件

①構造要件
  • 利用者の服薬指導等の際に配慮した構造設備
  • 座って指導が受けられる
    相談内容が漏洩しないよう配慮している 

  • 高齢者・障害者等の円滑な利用に適した構造設備
  • 導線を考慮した手すり
    段差のない入り口
    車いすで来局可能

構造がわかる図面・写真等

②体制要件
  • 地域包括ケアシステムの構築に資する会議への参加
  • 市町村または地域包括支援センターが主催する地域ケア会議
    介護支援専門員が主催するサービス担当者会議
    地域の多職種が参加する退院時カンファレンス

    ※過去1年間に参加した会議を記載

  • 地域における医療機関に勤務する薬剤師等に対して随時報告及び連絡することができる体制
  • ハイリスク薬の服薬状況や副作用情報の提供
    入院時に入院前の服薬情報を提供
    退院時カンファレンスに参加し、指示や情報提供を受ける
    在宅での服薬状況や、必要な薬剤・医療材料の情報提供

    ※主な連携先の医療機関の名称・所在地を記載

  • 地域における医療機関に勤務する薬剤師等に対して報告及び連絡した実績
  • 入院時の情報共有
    外来の利用者に関する情報共有
    退院時の情報共有
    居宅等訪問に関する、報告書等による情報共有

    月平均30回以上
    (いづれかのみを行うのではなく、満遍なく行うことが望ましい)
    薬剤師による主体的な情報収集により得られた情報を文書等で提供したものが対象

    対象にならないもの
    検査のみの情報提供
    お薬手帳への記載
    疑義照会

    「認定基準に関するQ&A」問9より


    規則第10条の2第2項第3号に規定する実績については、
    例えば、文書で医療機関へ情報提供を行い、以下のような調剤報酬を算定した場合を含むと考えてよいか。

    1. 利用者の入院に当たって情報共有を行った実績として「服薬情報等提供料1」、「服薬情報等提供料2」
    2. 医療機関からの退院に当たって情報共有を行った実績として「退院時共同指導料」
    3. 外来の利用者に関して医療機関と情報共有を行った実績として、「服用薬剤調整支援料1」、「服用薬剤調整支援料2」、薬剤服用歴管理指導料における「吸入薬指導加算」、「調剤後薬剤管理指導加算」

    (答)調剤報酬の算定の有無にかかわらず、情報共有を実施していれば実績とすることで差し支えない。

    過去1年間の実績(回数)を記載
    情報提供文書等の写しを添付

  • 他の薬局に対して報告及び連絡することができる体制
  • 薬剤服用歴(OTCを含む、以下同じ)
    残薬などの服薬状況
    副作用の発生状況に関する情報

    報告・連絡する際の手順書の写し

  • 開店時間外の相談に対応する体制
  • 開店時間外でも電話等を受けられる体制
    ※原則かかりつけ薬剤師が対応
    ※相談内容は調剤録(薬剤服用歴でよい)に記載

    開店時間、相談先等の周知方法の記載
    利用者に交付する文書・薬袋等の例を添付

  • 休日及び夜間の調剤応需体制
  • 自局で対応または他薬局と連携して対応する体制
    ※輪番制の場合はそれに参加していること
    ※へき地等の場合は、柔軟に判断可能

    自局での対応時間を記載
    地域の調剤応需体制がわかる資料を添付
    参考:過去1年間の実績(回数)

  • 在庫として保管する医薬品を必要な場合に他の薬局開設者の薬局に提供する体制
  • 他の薬局開設者の求めに応じて、医薬品を提供できる体制
    ※在庫する医薬品の情報を、近隣薬局に周知することが望ましい

    医薬品提供時の手順書等の写しを添付
    参考:過去1年間の実績(回数)

  • 麻薬の調剤応需体制
  • 自局で麻薬調剤ができる体制
    速やかに必要な麻薬を入手できる体制
    ※薬局の事情により、特定の麻薬の調剤を断ることは認められない

    麻薬小売業者の免許証の番号を添付
    参考:過去1年間の実績(回数)

  • 無菌製剤処理を実施できる体制
  • 自局で無菌調剤処理ができる体制または
    他薬局の設備を共同利用できる体制
    ※近隣に無菌調剤室を提供する薬局がない場合、当分の間、実施可能な薬局の紹介でも可
    (近隣:日常生活圏域(中学校区)および近接する日常生活圏域)

    <自局で対応>
    無菌製剤処理が実施できることがわかる図面・写真を添付
    <共同利用>
    共同利用に関する契約書の写しを添付
    <近隣に無菌調剤室を提供する薬局がなく、他の薬局を紹介する場合>
    無菌製剤処理に関わる調剤のみ紹介する手順書等の写しを添付
    参考:過去1年間の実績(回数)

  • 医療安全対策
  • 医薬品に係る副作用の報告
    市販直後調査への協力
    RMPに基づく資料の活用
    薬局ヒヤリハット(事例収集・分析事業への参加)
    厚生労働省の資材の活用
    PMDAメディナビの活用など

    実施している医療安全対策の記載
    参考:過去1年間の報告回数

  • 地域の他の医療提供施設に対する医薬品の適正使用に関する情報提供
  • 新薬の情報
    後発医薬品の特徴(品質・製剤工夫など)
    同一薬効群における医薬品の特徴(有効性・安全性の情報等)

    情報提供先の施設名称・地域の範囲を記載
    情報提供を行った内容の写しを添付
    参考:過去1年間の情報提供回数

  • 居宅等における調剤並びに情報の提供及び薬学的知見に基づく指導の実績
  • 居宅等を訪問して、指導等を行った回数
    ※複数の利用者が入居している施設を訪問した際は、指導人数にかかわらず1回とする

    過去1年間の指導回数を記載
    参考:過去1年間に指導を行った患者の総数

  • 医療機器及び衛生材料を提供するための体制
  • 医療機器や衛生材料を提供できる体制
    ※高度管理医療機器等の販売業の許可が必要
    速やかに必要な医療機器・衛生材料を入手できる体制
    ※利用者だけでなく、医療機関に対しても必要に応じて提供

    高度管理医療機器等の販売業の許可番号の記載
    参考:過去1年間に提供した医療機器・衛生材料の例

③人的要件
  • 継続して1年以上常勤として勤務している薬剤師の体制
  • 常勤薬剤師の半数以上が、継続して1年以上常勤として勤務
    ※時短勤務などの取り扱いはQ&Aで示されている(参考サイトへ

    該当する薬剤師の人数を記載
    該当する薬剤師の一覧を添付

  • 地域包括ケアシステムに関する研修を修了し常勤として勤務している薬剤師の体制
  • 常勤薬剤師の半数以上が健康サポート薬局に係る研修を修了

    該当する薬剤師の人数を記載
    該当する薬剤師の一覧を添付
    健康サポート薬局に係る研修の修了証等の写しの添付

  • 地域包括ケアシステムに関する内容の研修の受講
  • 毎年、すべての薬剤師が地域包括ケアシステムに関する内容の研修を継続的に受講
    ※外部研修が望ましい
    ※研修実施後は、日時や参加者等の記録を保存

    研修の実施計画の写しを添付

専門医療機関連携薬局の概要

①専門医療機関連携薬局とは

がん等の専門的な薬学管理関係機関として連携して対応できる薬局

※高度な薬学管理や、専門性が求められる特殊な調剤ができる薬局であることが期待されています。

②期待される役割
  • 専門機関との連携
  • がん診療連携拠点病院等と密に連携する

  • 高度薬学管理
  • 高度な薬学管理や高い専門性が求められる特殊な調剤に対応できる

  • 他薬局の業務を支える取組
  • 抗がん剤の提供や情報発信、研修の実施等を通じて、他薬局の業務を支える

③専門医療連携薬局の基準
  • 利用者が安心して相談しやすい体制
  • 他施設(がん診療連携拠点病院等)との顔の見える関係づくり
  • 地域でいつでも調剤できる体制への参加
  • 一定の資質(がんの専門性に関する認定を受けた者)を持つ薬剤師の体制

専門医療機関連携薬局の要件

①構造要件

基本的には地域連携薬局と同様の構造が求めらますが、より安心して相談できる環境を確保する為、

個室などプライバシーの確保に配慮した設備が求められます

個室に限らず、服薬指導等を行うカウンターのある場所や利用者の待合スペースから十分離れていて、プライバシーに配慮した場所とみなされれば要件を満たします

②体制要件

こちらも地域連携薬局と同様ですが、よりがんに特化した連携体制が求められています。

  • がん治療に係る医療機関との間で開催される会議への参加
  • がん治療に係る医療機関に勤務する薬剤師等に対して、報告・連絡した実績
  • (処方箋を応需しているがん患者の半数以上)

    「認定基準に関するQ&A」問10より


    規則第10条の3第3項第3号に規定する実績については、
    例えば、文書で医療機関へ情報提供を行い、調剤報酬の「服薬情報等提供料1」、「服薬情報等提供料2」、「特定薬剤管理指導加算2」を算定した場合を含むと考えてよいか。

     

    (答)調剤報酬の算定の有無にかかわらず、情報共有を実施していれば実績とすることで差し支えない。

  • がん治療に係る医療機関に勤務する薬剤師等に対する報告・連絡体制
  • 抗がん剤等を他薬局に提供する体制
  • 抗がん剤等の適正使用に関する、他施設への情報提供
  • 地域の他の薬局に対するがんに係る専門的な内容の研修の実施
  • 地域の他の薬局に対し、がんに係る専門的な指導等に関する研修を実施すること
    ※コミュニケーションに関する内容も含まれる
    ※研修実施後は、日時や参加者等の記録を保存

    研修の実施計画の写しを添付

その他の体制については、地域連携薬局と同様のものが求められます。
なお、無菌調剤処理や在宅への対応は、現時点では求められていません。

③人的要件
  • 継続して1年以上常勤として勤務している薬剤師の体制
  • 常勤薬剤師の半数以上が、継続して1年以上常勤として勤務

  • がんに係る専門的な内容の研修の受講
  • 毎年、すべての薬剤師ががんに係る専門的な内容の研修を継続的に受講

  • がんの専門性を有する常勤として勤務している薬剤師の体制
  • がんの薬物治療全般に係る専門性があるとして、認定を受けた常勤薬剤師の配置

    該当する認定資格(2021年6月現在)
    地域薬学ケア専門薬剤師(がん)
    外来がん治療専門薬剤師

参考サイト

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行について(認定薬局関係) 

令和3年1月29日

 

 

地域連携薬局及び専門医療機関連携薬局の認定基準に関するQ&Aについて

令和3年1月29日

 

 

日本薬剤師会・日本薬剤師研修センターが行う「健康サポート薬局研修」について

 

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