すでにご存じの方も多いとは思いますが、緑内障には
「開放隅角緑内障」
「閉塞隅角緑内障」
があり、緑内障患者の多くは「開放隅角緑内障」です。そして開放隅角緑内障の場合は抗コリン作用を有する薬剤を使っても影響がない事が分かっています。詳細を確認したい方は下記のサイトをご覧下さい。(リンク先のPDFファイルの日本眼科学会の回答書に記載されています。)
サイト:開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障における急性緑内障発作が発症する機序の違い
ただ、緑内障禁忌薬であっても使える薬がほとんどだという事を薬剤師が分かっていたとしても、添付文書に禁忌として「緑内障患者」と記載されている以上開放隅角緑内障患者でも処方医に疑義照会が必要となっていました。私を含め多くの薬剤師がこの改定を待ち望んでいた事でしょう。
添付文書の改訂は下記サイトを参照にして下さい。
サイト:厚生労働省からの通知
お薬手帳にて眼科でキサラタン点眼液を使用中の患者Aさんが持参された処方箋
平成31年4月時点の添付文書上の禁忌記載内容
アイトロール錠20㎎ 2錠 <アイトロール:禁忌に閉塞隅角緑内障の患者>
分2 朝・夕食後 14日分
デパス錠0.5㎎ 1錠 <デパス:禁忌に急性狭隅角緑内障の患者>
分1 寝る前 14日分
PL顆粒 3g <PL:禁忌に緑内障の患者>
分3 毎食後 5日分
※アイトロールとデパスは以前から処方されており、PLが今回処方されました。
対応事例①
薬剤師:
「今回処方されたPLは緑内障禁忌となっていますが、了承の上処方ということでよろしいでしょうか?」
処方医:
「眼科の事は判断できないので、禁忌なら今回のPLは中止で、頓服でカロナール200㎎2Tを発熱・疼痛時5回分に変更で。」
対応事例②
薬剤師:
「今回処方されたPLは緑内障禁忌となっていますが、了承の上処方ということでよろしいでしょうか?」
処方医:
「緑内障なんですね。添付文書が禁忌なら使えないし削除でお願いします。」
対応事例③
まず、患者さんに
薬剤師:
「今日処方されているPL顆粒は緑内障の方に対しては制限がある薬となります。眼科医に確認したいので、眼科医の連絡先を教えて貰えますか」
患者さんから眼科医の連絡先を聞いたうえで
薬剤師:
「本日、○○医院から緑内障患者に禁忌のPL顆粒がでました。服用は問題ないでしょうか?」 ※
この回答を元に処方医に再度連絡をしその回答に従い対応。
※ ここで眼科医はたいていの場合、「開放隅角緑内障なのでのんでもらって大丈夫です。」と回答頂けます。
眼科医に閉塞隅角緑内障ではない事を確認していたとしても、PL顆粒が追加されれば添付文書上処方医に問い合わせが必要となります。
対応事例①②のように、本来なら使用できる患者さんに処方されなかった事例を多くの薬剤師が経験しているのではないでしょうか?
対応事例③は、処方されたPL顆粒をそのまま処方して貰うために薬剤師のできる理想的な対応ですが、2人の医師に確認が必要となる為なかなかスムーズにはいきませんでした。
お薬手帳にて眼科でキサラタン点眼液を使用中の患者Aさんが持参された処方箋
令和元年7月時点の添付文書上の禁忌記載内容(太字が変更部分)
アイトロール錠20㎎ 2錠 <アイトロール:禁忌に閉塞隅角緑内障の患者>
分2 朝・夕食後 14日分
デパス錠0.5㎎ 1錠 <デパス:禁忌に急性閉塞隅角緑内障の患者>
分1 寝る前 14日分
PL顆粒 3g <PL:禁忌に閉塞隅角緑内障の患者>
分3 毎食後 5日分
※アイトロールとデパスは以前から処方されており、PLが今回処方されました。
上記の事例においては、すでに、アイトロール、デパスが処方されている患者さんの為、閉塞隅角緑内障ではない事は確認できています。新たにPL顆粒が処方されたとしても、問い合わせは不要ということになります。
緑内障禁忌、狭隅角緑内障の表記がすべて閉塞隅角緑内障の記載に統一された為、今後は緑内障の種類が分かっていれば、今まで禁忌として処方が避けられていた薬も処方される機会が増えるのではないでしょうか。
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