
ADHDとは、Attention deficit hyperactivity disorderの略で、
3つの特性を中心とした発達障害のことを指し、注意欠陥多動性障害と訳される場合もあります。
上記のような症状がみられ診断された場合には、本人も周囲もその特性を受け入れ生活しやすい環境を作る事が中心となるようです。
症状が強く、環境整備による支援を行っても症状が改善しない場合のみ薬物投与が行われます。
令和元年9月16日公開
令和2年7月13日更新
ADHDは、脳内の神経伝達物質であるドパミンやノルアドレナリンが不足したり神経伝達の調節異常によって、注意力の低下や衝動的で落ち着きのない症状があらわれるとされています。
その為、ドパミンやノルアドレナリンの働きを強くする薬が使用されます。作用機序はのちほど説明しますが、下記の4つの薬が使用される事があります。またビバンセにおいては小児のみの適応になっており、更に他のADHD治療薬が効果不十分な場合のみに使用されます。
医薬品名 |
一般名 |
適用 | 特徴など |
---|---|---|---|
コンサータ(中枢系) |
メチルフェニデート |
小児・大人 |
即効性 |
ストラテラ(非中枢系) |
アトモキセチン |
小児・大人 |
数週間かけて作用発現 |
インチュニブ(非中枢系) |
グアンファシン |
小児・大人 |
1~2週間で効果発現 |
ビバンセ(中枢系) |
リスデキサンフェタミン |
小児 |
即効性 |
令和元年9月現在
商品名 |
作用機序解説 |
---|---|
コンサータ |
ドパミン及びノルアドレナリンの再取り込みを抑える事でシナプス間隙に存在するドパミン及びノルアドレナリンの濃度を高める。 |
ストラテラ |
ノルアドレナリントランスポーターに対する選択的阻害作用によりノルアドレナリンの濃度を高める。(ノルアドレナリン阻害作用はセロトニン及びドパミン取り込み阻害作用に比べ30倍以上選択的である。) |
インチュニブ |
ノルアドレナリンの受容体であるα2A受容体を刺激することで、HCNチャンネルを閉口しシグナル伝達の流失を防ぐことでシグナル伝達を増強させると考えられている |
ビバンセ |
ドパミン及びノルアドレナリンの再取り込みを抑え、これら伝達物質の遊離作用を促進し、またモノアミン酸化酵素 A に対する阻害作用によりドパミン及びノルアドレナリンの濃度を高める。 |
薬品名 | 規制区分 | 流通管理 |
---|---|---|
コンサータ | 劇薬、向精神薬(第一類)、処方箋医薬品薬 | ADHD適正流通管理システムに従う |
ストラテラ | 劇薬、処方箋医薬品薬 | 特に規定なし |
インチュニブ | 劇薬、処方箋医薬品薬 | 特に規定なし |
ビバンセ | 劇薬、覚せい剤原料、処方箋医薬品薬 | ADHD適正流通管理システムに従う |
ストラテラ、インチュニブの採用においては、他の医療用医薬品と同様で特に規制はありません。
コンサータは第一類向精神薬となる上、ADHD適正流通管理システムに従う事となり、医師の登録、調剤責任者の登録、また患者登録等が必要となり採用時にはe-ラーニングの受講など規制があります。
また、ビバンセは覚せい剤原料となる上、医師の登録、調剤薬剤師の登録、また患者登録も必要とされています。
ビバンセは平成31年3月26日に製造販売承認を取得し、同年5月22日に薬価収載されています。本来であれば(令和元年9月現在)発売されているはずでしたが、中枢刺激剤適正流通管理体制の厳格化の流れを受けシステムの再構築が必要となり発売が遅延していました。令和元年12月初旬に発売となりました。
ADHD適正流通管理システムについて
更新情報(令和元年12月5日)
医薬品名 |
用法 | 副作用等 |
---|---|---|
コンサータ |
1日1回 朝 |
食欲減退(31.2%)、不眠(5~18.5%)、体重減少(5~19.9%) |
ストラテラ |
1日1回 Or 2回 |
小児対象臨床試験時 |
インチュニブ | 1日1回 |
6歳以上18歳未満対象臨床試験時 |
ビバンセ | 1日1回 朝 |
食欲減退(79.1%)、不眠(45.3%)、体重減少(25.6%) |
コンサータ、ビバンセについては、不眠の副作用が起こりやすい為、朝の服用が基本となります。また、食欲減退が原因で体重減少がみられます。
ストラテラは、コンサータに比べて副作用は少なく、頭痛、眠気、食欲減退ですが、数日服用する事で治まる事が多いです。
インチュニブは高血圧の治療薬として開発されていた経緯から、血圧低下の副作用がある為、心疾患を抱えている方には注意が必要です。眠気、口渇、頭痛においてはストラテラと同様に数日服用する事で治まる事が多いです。
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