服薬情報等提供料(トレーシングレポート)   1と2の違いについて

服薬情報等提供料(トレーシングレポート)   1と2の違いについて

保険医療機関の求めがあった場合
患者若しくはその家族の求めがあった場合
保険薬剤師がその必要を認めた場合
算定要件とその内容について解説

①服薬情報等提供料とは

保険薬局において調剤後も患者の服用薬や服薬状況に関する情報等を把握し、患者若しくはその家族等又は保険医療機関に当該情報を提供することにより、医師の処方設計及び患者の服薬の継続または中断の判断の参考とする等、保険医療機関と保険薬局の連携の下で医薬品の適正使用を推進することを目的として、平成12年4月1日に新設。
調剤報酬改定の際に何度か見直により再編され、現在は

  • 服薬情報等提供料1
  • 及び

  • 服薬情報等提供料2
  • に分けられている。

服薬情報等提供料の再編の歴史
  • 平成24年4月
  • 調剤報酬点数の合理化・簡素化という観点から
    調剤情報提供料を廃止し、服薬情報等提供料に統合される
    調剤情報提供料:吸湿性等の理由により分割調剤を行った場合の情報提供を評価

  • 平成28年4月
  • 長期投薬情報提供料1及び2が廃止され、服薬情報等提供料に統合される

  • 平成30年4月
  • 保険医療機関の求めがあった場合の評価の見直しにより
    服薬情報等提供料1及び服薬情報等提供料2に分けられ、現在に至る

服薬情報等提供料1 服薬情報等提供料2
点数 30点 20点
患者の同意 必要 必要

情報の求め(依頼)
必要性

保険医療機関 患者・その家族等・保険薬剤師
情報提供先
  • 残薬の報告を求める保険医療機関
  • 分割調剤を行った処方箋の処方医
  • 入院先の医療機関
  • 服用薬及び服薬状況又は服薬指導の要点、患者の状態等を求める医療機関
  • 家族・その患者等
  • 受診している保険医療機関
情報提供の方法 書面又は電子的な方法
  • 書面又は電子的な方法
  • ③アの(イ)及び(ロ)は電話での情報提供可能
    (服薬情報等提供料2の算定要件)
算定の制限 月1回まで
  • 月1回の制限なし
  • 複数の保険医療機関又は診療科ごとに月1回算定可
  • ※次回以降の来局時に必要な指導を行う

同時に算定できない加算
  • かかりつけ薬剤師指導料
  • かかりつけ薬剤師包括管理料
  • 在宅患者訪問薬剤管理指導料
  • かかりつけ薬剤師指導料
  • かかりつけ薬剤師包括管理料
  • 在宅患者訪問薬剤管理指導料

算定するタイミングは指導を行った時ではなく、次回の来局時に算定することに注意
また、「服薬情報等提供料2」においては、当該情報に関する患者の状態等の確認及び指導を行う必要があります。


②服薬情報等提供料1の算定要件

「服薬情報等提供料1」は、保険医療機関から④のア又はイに掲げる情報提供の求めがあった場合にその理由とともに、患者の同意を得て、現に患者が受診している保険医療機関に対して、当該患者の服薬状況等について文書等により提供した場合に算定できる。これには、次に掲げる場合が含まれる。

処方箋を発行した保険医療機関が患者の服用薬の残薬の報告を求めており、保険薬局において患者の服用薬の残薬を確認し、当該保険医療機関に対して情報提供を行った場合

調剤基本料の「注10」に掲げる医師の指示による分割調剤において、2回目以降の調剤時に患者の服薬状況、服薬期間中の体調の変化等について確認し、処方医に対して情報提供を行った場合。この場合において、次に掲げる事項を含めるものとする。

  • 残薬の有無
  • 残薬が生じている場合はその量及び理由
  • 副作用の有無
  • 副作用が生じている場合はその原因の可能性がある薬剤の推定

保険医療機関からの求めに応じ、入院前の患者の服用薬について確認し、依頼元の医療機関に情報提供した場合

③服薬情報等提供料2の算定要件

患者又はその家族等の求めがあった場合、患者の同意を得て、次に掲げる情報等の内容について、患者又はその家族等に対して速やかに提供等し、当該情報に関する患者の状態等の確認及び必要な指導を次回以降の来局時に行った場合。

  • (イ) 緊急安全性情報、安全性速報や医薬品・医療機器等安全性情報など、処方箋受付時に提供した薬剤情報以外の情報で患者の服薬期間中に新たに知り得た情報
  • (ロ) 患者の服薬期間中に服薬状況の確認及び必要な指導

保険薬局の薬剤師が薬剤服用歴に基づき患者の服薬に関する④のアからウまでに掲げる情報提供の必要性を認めた場合にその理由とともに、患者の同意を得て、現に患者が受診している保険医療機関に対して、当該患者の服薬状況等について文書等により提供した場合。これには、保険薬局において患者の服用薬の残薬を確認し、処方箋を発行した保険医療機関に対して情報提供を行った場合が含まれる。

保険医療機関に対する情報提供の内容は次のとおりとする

当該患者の服用薬及び服薬状況

当該患者に対する服薬指導の要点、患者の状態等

当該患者が容易に又は継続的に服用できるための技術工夫等の調剤情報

服薬期間中の体調の変化等の患者の訴えや自覚症状がある場合には、患者の自覚症状が薬剤の副作用によるものか否かに関する分析結果も含めて情報提供することとし、また、患者に対する服薬指導は、当該分析結果を踏まえたものとする。なお、患者の自覚症状の分析に当たっては、「重篤副作用疾患別対応マニュアル」(厚生労働省)等を参考とすることが望ましい。

④のウについては、処方箋の記入上の疑義照会等では算定できない。

保険医療機関への情報提供については、患者1人につき同一月に2回以上服薬情報等の提供を行った場合においても、月1回のみの算定とする。ただし、複数の保険医療機関又は診療科に対して服薬情報等の提供を行った場合は、当該保険医療機関又は診療科ごとに月1回に限り算定できる。

保険医療機関への情報提供に当たっては、別紙様式1又はこれに準ずる様式の文書等に必要事項を記載し、患者が現に診療を受けている保険医療機関に交付し、当該文書等の写しを薬剤服用歴の記録に添付する等の方法により保存しておく。

③のアについて、患者の服薬期間中に情報提供した事項、服薬期間中及び処方箋受付時に確認した患者の服薬状況等及び指導等については、情報提供の都度、薬剤服用歴の記録に記載する。

服薬情報等提供料は、かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料又は在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者については算定できない。

疑義解釈

  • 服薬情報等提供料について、患者、その家族等へ必要な情報提供、指導等を行った場合は月1回の算定制限がないと考えてよいか。
  • (答)貴見のとおり。

  • 服薬情報等提供料について、かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料又は在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している場合には算定できないこととされているが、同一月内でこれらの指導料等を算定していれば、服薬情報等提供料は算定できないのか。
  • (答)かかりつけ薬剤師指導料等を算定している月であれば、服薬情報等提供料に相当する業務も当該指導料等の中で行うことになるので、服薬情報等提供料は算定できない。

参考サイト:疑義解釈資料の送付について(その1)(問51、問52):平成28年3月31日

同一月内における服薬情報等提供料と他の薬学管理料の算定の可否

項目 算定回数 服薬情報等提供料1・2
薬剤服用歴管理指導料1、2、3、4 処方箋受付ごと
かかりつけ薬剤師指導料 処方箋受付ごと ×
かかりつけ薬剤師包括管理料 処方箋受付ごと ×
在宅患者訪問薬剤管理指導料 処方箋受付ごと ×

外来服薬支援料

月1回まで
服用薬剤調整支援料1 月1回まで
服用薬剤調整支援料2 3月に1回まで 〇*1
経管投薬支援料 患者ごとに1回のみ

薬剤服用歴管理指導料等の加算

算定回数 服薬情報等提供料1・2
麻薬管理指導加算 処方箋受付ごと
重複投薬・相互作用等防止加算 処方箋受付ごと
特定薬剤管理指導加算1 処方箋受付ごと
特定薬剤管理指導加算2 月1回まで 〇*1
乳幼児服薬指導加算 処方箋受付ごと
吸入薬指導加算 3月に1回まで 〇*1
調剤後薬剤管理指導加算 月1回まで 〇*1

*1 当該薬学管理料の算定に係る保険医療機関への情報提供については、服薬情報等提供料は算定できない。

個別指導における主な指摘事項

(1)服薬情報等提供料について、次の不適切な例が認められたので改めること。
① 患者の同意を得ていない。
(2)服薬情報等提供料2について、次の不適切な例が認められたので改めること。
① 患者の服薬期間中に新たに情報提供した事項、服薬期間中及び処方箋受付時に確認した患者の服薬状況等又は指導等について、情報提供の都度、薬剤服用歴の記録に記載していない。

 

参考サイト:平成30年近畿厚生局資料

参考サイト

別添3 調剤報酬点数表に関する事項

 

m3.comの記事も参照(クイズを解いてみよう!!)
服薬情報等提供料1と2の違いは?

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