調剤料の算定の原則
令和3年5月5日公開
令和4年3月22日更新
「調剤料」は2022年3月31日までの旧算定方法となります。
2022年4月1日からは、「薬剤調製料」、「調剤管理料」が新設されます。
「薬剤調製料」と「調剤管理料」についての記事へ
- 内服薬
- 頓服薬
- 外用薬
- 注射薬
それぞれについて所定単位ごとに算定します
内服薬の調剤料の計算
「調剤料」は2022年3月31日までの旧算定方法となります。
2022年4月1日からは、「薬剤調製料」、「調剤管理料」が新設されます。
「薬剤調製料」と「調剤管理料」についての記事へ
内服薬の調剤料は、投与日数により次のように区分されています。
内服薬(湯煎薬及び湯薬、頓服薬を除く)の調剤料(1剤につき)
- 7日目以下の場合・・・28点
- 8日目以上14日分以下の場合・・・55点
- 15日以上21日分以下の場合・・・ 64点
- 22日分以上30日以下の場合・・・ 77点
- 31日分以上の場合・・・ 86点
- 内服薬が1回の処方箋受付について4剤以上ある場合は、3剤まで算定できる。
(内服用滴剤を除く)
- また、どの3剤を採用して算定してもよい。
- 内服用滴剤については、日数に関係なく1調剤につき10点を算定する。
- 隔日投与等投与しない日がある内服薬の調剤料は、実際の投与日数により算定する。
- 調剤の際に溶解し、液剤として投与する時⇒内服用液剤として算定。
- 散剤としてそのまま投与⇒内服用固形剤として算定。
ドライシロップ剤を投与する場合において
1剤とは調剤料の算定上適切なものとして認められる単位を意味します。
具体的には次の通りです。
- 1回の処方で服用時点が同一の内服薬は、個別の薬包などに調剤しても1剤として算定します。
- 服用時点が同一の薬剤は、投与日数にかかわらず1剤として算定します。
注)「服用時点が同一である」とは、2種類以上の薬剤について、服用日1日を通じて服用時点(例えば「朝食後、夕食後服用」「1日3回食後服用」「就寝前服用」「6時間毎服用」など)が同一であることをいいます。 食事を目安とする服用時点は食前、食後、食間の3区分とされ、「食直前」「食前30分」などの違いがあっても調剤料の算定では「食前」とみなします。
- 上記の①と②に関わらず、次の場合にはそれぞれを別剤として算定できます。
- 配合不適など、調剤技術上の必要性から個別に調剤した場合。
- 内服用固形剤(錠剤、カプセル剤、散剤など)と内服用液剤の場合。
- 内服錠とチュアブル錠や舌下錠などのように服用方法が異なる場合。
- ドライシロップ剤を水に溶かして同時服用の他の液剤と一緒に投与する場合は1剤として算定し、ドライシロップ剤を散剤として同時服用の他の固形剤(錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等)と一緒に投与する場合も1剤として算定する。
- 同一有効成分であって同一剤形の薬剤が複数ある場合は、その数にかかわらず1剤として算定する。
例Rp1)
メトホルミン錠250mg 3錠 分3毎食前 30日分
ミグリトール錠50mg 3錠 分3毎食直前 30日分
⇒食前1剤の扱いになる
例Rp2)
テプレノンCP50mg 3C 分3毎食後 30日分
イコサペント酸エチルCP300mg 3C 分3毎食直後 30日分
⇒食後1剤の扱いになる
例Rp3)
ブロチゾラム錠0.25mg 1錠 分1就寝前 30日分
ゾピクロン錠7.5mg 1錠 分1就寝直前 30日分
⇒就寝前1剤の扱いになる
例1)
Rp1 〇〇〇〇錠 3T
△△△錠 3T
◇◇◇◇錠 3T
分3毎食後 14日分←算定可
Rp2 □□□□散 3g
✖✖✖✖散 2g
分3毎食後 7日分←算定不可
いずれも毎食後服用で服用が同時なので、1剤として扱います。
投与日数の長い方で算定すれば、短い分の調剤料は算定できません。
よって、14日分の調剤料を1剤分算定する為、調剤料は
55点 ×1剤分=55点となります。
例2)
Rp1 〇〇〇〇錠 6T
◇◇◇◇錠 3T
分3毎食後 14日分←算定可
Rp2 □□□□シロップ 10ml
分3毎食後 14日分←算定可
いずれも毎食後服用で服用時点は同じですが、錠剤(固形剤)とシロップ(液剤)なので2剤として算定します。
14日分の調剤料を2剤分算定する為、調剤料は
55点 ×2剤分= 110点となります。
例3)
Rp1 〇〇〇錠 3T 毎食後 42日分←算定①
Rp2 □□□錠 2T 夕食後 30日分←算定②
Rp3 △△△錠 1T 就寝前 14日分←4剤を超え不可
Rp4 ◇◇◇錠 1T 朝食後 21日分←算定③
Rp5 ✖✖✖錠 1T 朝夕食後 5日分←4剤を超え不可
4剤以上ある時は3剤までの算定となる為、日数の多い方から3剤を算定します。
よって、Rp1、Rp2、Rp4を選択する事となり、
86点 + 77点 + 64点 =227点となります。
例4)
Rp1 〇〇〇錠 3T 毎食後 30日分←算定①
Rp2 □□□錠 2T 夕食後 30日分←算定②
Rp3 △△△錠 1T 就寝前 30日分←算定③
Rp4 ◇◇◇錠 1T 朝食後 30日分←4剤を超え不可
Rp5 ×××液(内服用滴剤) 20ml←内服用滴剤の調剤料を算定可
内服薬は3剤までの算定となる為、Rp1、Rp2、Rp3を選択し
77点 × 3剤分 =231点
内服用滴剤は内服調剤料の3剤までの算定制限からは除かれる為、
内服用滴剤の調剤用の10点を算定します。
よって例4の調剤料は
231点 + 10点 = 241点となります。
頓服薬の調剤料の計算
頓服薬の調剤料(「薬剤調製料」2022.4.1~)は、調剤した剤数、回数にかかわらず21点を算定します。
例1)
Rp1 〇〇〇錠 1T 不眠時 10回分
Rp2 □□□錠 2T 疼痛時 5回分
Rp3 △△△錠 1T 発作時 1回分
いずれも服用時点の異なる頓服なので3剤となりますが、
剤数に、回数にかかわらない為、21点となります。
外用薬の調剤料の計算
- 外用薬の調剤料(「薬剤調製料」2022.4.1~)は、投与日数にかかわらず、1調剤につき10点を算定します。
- 1回の処方箋受付について4調剤以上ある場合、3調剤分までしか算定できません。
- トローチは外用薬として算定します。
- 同一有効成分で同一剤型の外用薬が複数ある場合には、その数にかかわらず、1調剤として取り扱います。
例1)
Rp1 A点眼液 5ml 1日1回
Rp2 B点眼液 15ml 1日3回
Rp3 C軟膏 5g 1日2回
Rp4 Dパップ 70枚 1日2回
算定できるのは、3調剤分までの為、
10点 × 3調剤分 = 30点となります。
Rp1 ケト〇ロフェンテープL40mg 21枚 腰 1日1回
Rp2 ケト〇ロフェンテープ20mg 21枚 肩 1日1回
Rp3 ケト〇ロフェンパップ30mg 21枚 膝 1日1回
同一有効成分で同一剤型の外用薬が複数ある場合には、1調剤として扱う為、
Rp1とRp2はどちらか一方しか算定できません。
よって、Rp1とRp3の2調剤分の算定となる為、
10点 ×2調剤分 = 20点となります。
注意
ロキソプロフェンテープ100mg「科研」
ロキソプロフェンテープ100mg「タイホウ」
が同時に処方された場合は、「タイホウ」が温感タイプとなる為、2調剤分算定できる。
⇒冷・温による違いがないとの見解により1調剤分の算定に見直されました。
(令和3年12月12日更新)
兵庫県薬剤師会研修会より
注射薬の調剤料の計算
注射薬の調剤料(「薬剤調製料」2022.4.1~)の算定は頓服と同様、調剤数、日数にかかわらず26点を算定します。
例題は割愛します。
※また、特定保険医療材料料の調剤料は算定できません。
さいごに
「調剤料」は2022年3月31日までの旧算定方法となります。
2022年4月1日からは、「薬剤調製料」、「調剤管理料」が新設されます。
「薬剤調製料」と「調剤管理料」についての記事へ
調剤料の計算はレセコンに入力さえすれば、ほぼ自動で計算します。
知らなくても困る事はないと思いますが、
漸減、漸増、交互服用などは、
算定要件を理解していないとレセコン入力する際に苦労するかもしれません。
同一有効成分で同一剤型の薬が服用時点がバラバラで記載された処方箋を受付けて
調剤料の算定に不備が生じるかもしれません。
この記事によって、そのような不備を防ぐ助けになれば幸いです。
また、「調剤料の計算問題」も作成していますので、宜しければ挑戦してみて下さい。